埼玉県国際交流協会が主催の「通訳ボランティアの入門講座」(前半のみ)に参加して、「コミュニティ通訳の意義と役割~東日本大震災から見えてきたもの~」というテーマで東京外語大学の杉澤経子先生のお話を伺ってきました。
その中で特に印象的だったことを何点か書きたいと思います。
震災後の出国ラッシュ
3月11日からのたった1ヶ月で、30数万人の外国人の方が日本から出て、再入国許可を受けるために1万人もの人が並んだそうです。
この数の多さはみなさんの不安の大きさをよく表しているのだと思います。
(自分が外国人として滞在先で災害にあったらこの上なく不安になって早く国に帰りたいと思うだろうと思います。)
文化の違いと難易な日本語
震災直後に「津波にがくるので高台に避難してください」という防災放送が流れた地域で、外国人の方が放送内容の意味が分からずに津波の犠牲になってしまったということがあったそうです。
地元の方々は「高台」といえば具体的な場所まで頭に浮かぶのですが、外国人の方は「高台」がどういうことなのかがイメージし難いという文化の違い。 そして、「避難」という難しい単語であったために伝わらなかったという言葉の壁が悲劇を生んだと考えられているとのことでした。
このような問題に対応するために、日本語から外国語への通訳だけでなく、日本語から日本語への「言語内通訳」の重要性が高まっているということでした。例えば、「高台に避難してください」を「高い場所に逃げてください」という変換です。
外国人の定義
外国人は国籍法によって「日本国民でない者」と定義されていますが、実際にはいろいろなケースがあり明確に分類するというのは簡単ではないのだそうです。
しかも私達それぞれの感じ方も違いますので、「あの人は外国人」と決めるけるのはよいことではないと先生はおっしゃっていました。
ちなみに、地方自治法によると「市町村の区域内に住所を有する者」を「住民」とし、住民には地方公共団体のサービスを受ける「権利」とその負担を分担する「義務」があるのだそうです。
つまり地方自治法では、住民を日本人・外国人で分けることはしていないということなのです。
ともすると、外国人の方が私達と同じサービスを受ける権利を有するということを忘れてしまっているケースも見受けられますが、キチンと認識しておかなくてはいけない大事なことだと思います。
ところで、今回の講座を私は前半だけしか受講しなかったのですが、それには理由があります。
それは私がお手伝いできる可能性のある「英語」のボランティアは十分に人数が足りているということです。
昨年度の埼玉県の実績では、英語のボランティアの登録者数は187人、そして紹介数は29人ということでした。
通訳のボランティアが必要とされている数は英語も中国語に次いで2位なのですが、ボランティアの数もダントツで多いのです。
逆に中国語やスペイン語は登録者と紹介者の数が近いので需要があるようです。