前回は、私達の身近なクラウドコンピューティングの応用例をいくつか挙げました。
今回は、Amazonさんが担うクラウドコンピューティングの役割について書く予定でした。
でもちょっとその前にクラウドコンピューティングの特徴を表すたとえ話を書きたいと思います。
家庭で使う水は、現在ではほとんどのお宅で水道を使っていると思います。
でも昔(どれくらい昔かは知りませんが…)は、ほとんどの家で井戸水を使っていました。
水を使うにはまず井戸を掘らなくてはいけませんでした。
井戸を掘るには専門知識と労働力が必要ですから誰にでも簡単に出来るわけではありません。
つまりその当時、水を使うには、少なくない額の初期投資が必要だったのです。
でも水道が発達してからは、自分で高いお金を出して井戸を準備しなくても基本料金と使った分の料金さえ払えば誰でも気軽に水を使うことが出来るようになりました。
(引っ越したときに井戸を掘るのに百万円かかることはないですよね?)
だから何?と思われるかもしれませんが、これがクラウドコンピューティングの出現でコンピューターの世界で起きていることなのです。
以前は(そして多くのケースでは現在でも)コンピューターを使うには自分でコンピューターを購入しなくてはいけませんでした。
ちょうど井戸を掘るための初期投資が必要だったように、コンピューターの本体(と必要なソフトウェア)を購入するための初期投資が必要です。
パソコンが安くなった現在では個人では以前ほど多額の初期投資は必要なくなってきましたが、膨大なデータを大人数で共有して使うような企業向けのコンピューターでは現在でも初期投資は数百万~数千万(時には億!)になることも珍しくはないようです。
でもクラウドコンピューティングのあるサービスを利用すると、水道が欲しい時に欲しいだけ「水」を使えるように、欲しい時に欲しいだけ「コンピュータの処理能力」を買って使えるのです。
企業は最初に数千万円の初期投資をすることなく、月額数千円で「コンピュータの処理能力」を業者から購入できます。
そして使用者が増えるなどしてもっと処理能力が必要になったと思えば追加の処理能力を購入し、月額数万円払うことになるかもしれません。
でもまた使用者が減れば元の通り、月額数千円にすることもできるのです。しかもそれをまるで水道の蛇口をひねるかのように簡単に!
この「初期費用の安さ」と「処理能力の柔軟性」こそがクラウドコンピューティングが注目されている理由の1つでもあります。
必要な時に、必要なだけ処理能力を購入する…。水道、ガス、電気などがたどった道をコンピューターも進んでいるように思われます。
そして、必要な処理能力を柔軟性を持って販売する会社の一つがAmazonさんなのです。
「Amazonは本屋さんじゃないの?」と言えば、もちろんそうなんですが…
それはまた次回にでも…。